【実務コラム】GWに実家へ帰ったあなたへ。片付けの前に「境界」の話をしませんか?
1. 帰省のあとに残る、言葉にできない「モヤモヤ」
ゴールデンウィークに久しぶりに八戸へ帰り、ご両親とゆっくり過ごされた方も多いのではないでしょうか。美味しい地元の料理を食べ、昔話に花を咲かせる。そんな楽しい時間の裏側で、ふとした瞬間に「あぁ、親も年を取ったな」「この家、この先どうなるんだろう」と、言葉にできない不安が胸をよぎったことはありませんか?
実家を離れて暮らしていると、帰省のたびに家の老朽化や庭の荒れ方が目につくようになります。しかし、いざご両親に「この家、将来はどうするの?」と切り出そうとしても、なかなか勇気が出ないものです。あるいは、思い切って話してみたものの、「まだ大丈夫だ」「死んでから考えればいい」とはぐらかされ、結局そのまま八戸を後にしてしまった……。
いま、そんな「モヤモヤ」を抱えたまま日常に戻ったあなたに、不動産のプロとしてお伝えしたいことがあります。実は、いきなり「売る・貸す」といった大きな決断を迫る必要はありません。今、家族で共有しておくべきなのは、もっと手前にある「お家の健康状態」のことなのです。
2. 「片付け」よりも先に確認したい「目に見えないリスク」
実家の将来を考え始めると、多くの方は「まず、山のような荷物を片付けなきゃ」と考えます。もちろん、遺品整理や生前整理は大切です。しかし、不動産の実務家として、私たちが「荷物の片付け」よりもずっと優先順位が高いと考えていることがあります。それが、土地の「境界(きょうかい)」の確認です。
八戸のような歴史のある街では、お隣さんとの境目が曖昧なまま数十年が過ぎていることが珍しくありません。
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「お隣との間にあるブロック塀は、どちらの持ち物か?」
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「屋根のひさしや、庭の木の枝が、お隣の敷地に突き出していないか?」
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「昔、おじいさんが『ここが境だ』と言っていた場所に、今も杭はあるか?」
これらは、ご両親がそこに元気に住んでいる間は、近所付き合いという暗黙の了解で成り立っています。しかし、いざ「売却しよう」「建て替えよう」となった瞬間、この「曖昧さ」が最大のトラブルの火種になります。境界がハッキリしていない土地は、そのままでは売ることができません。解決のために何年もかかったり、多額の費用が必要になったり、最悪の場合はご近所トラブルで取引そのものが壊れてしまうことすらあるのです。
3. 親と一緒に「お庭の散歩」をしてみる
「境界を確認しよう」なんて理屈で言うと、親御さんは「自分の死ぬ準備をさせられている」と感じて身構えてしまいます。だから、私たちは「お庭の散歩」を提案しています。
天気のいい日に、ご両親と一緒に家の周りを一周ゆっくり歩いてみてください。「この塀、いつ頃作ったんだっけ?」「この木、お隣まで伸びてるけど、雪が落ちたりしないかな?」と、世間話のついでに聞いてみるのです。 親御さんの記憶にある「家の歴史」を引き出すこと。それ自体が、立派な不動産の棚卸しになります。そして、その会話の中で「実はあの塀のことでお隣さんと昔こんな話をしてね……」といった、登記簿謄本には載っていない「生きた情報」が出てくることがあります。これこそが、将来その土地を守るための最強の武器になります。
4. 「気配」が家を守り、トラブルを防ぐ
以前のコラムでもお話ししましたが、家は「人の気配」がなくなった瞬間に、急速に傷み始めます。 今はご両親が住んでいても、いつか空き家になる日は来るかもしれません。その時、どこが壊れやすくて、どこに風の影響が出やすいか。あるいは、どの場所にスズメバチの巣ができやすいか。 今のうちに親御さんと一緒に家を点検し、「気配」を共有しておくことは、将来の自分たちへの最大のギフトになります。
八戸の強い風でトタンが剥がれ、お隣の車を傷つけてしまったら。屋根からせり出した雪が、通行人をケガさせてしまったら。そうなってからでは、後悔してもしきれません。「自分の家が凶器にならないようにしておくこと」。これは、所有者としての最後で最大の責任です。
5. なぜ、私たちが「手弁当」で寄り添うのか
私たち不動産屋は、契約書にハンコをもらう時だけ現れる存在ではありません。 「まだ売るわけじゃないけれど、境界がどうなっているか不安」「一度、プロの目で見ておいてほしい」。そんな相談に、私たちは喜んでお応えします。
正直に申し上げて、こうした事前調査や相談は、私たちの持ち出し(マイナス)になることがほとんどです。いわば「手弁当」の仕事です。それでも私たちが動くのは、それが八戸の街のトラブルを一つ減らし、大切な資産を次の世代へ安全に繋ぐ唯一の方法だと信じているからです。事故のある物件を流通させないこと。それが、この街で看板を掲げ続ける私たちのプライドです。
まとめ:日常の中で、少しだけ「未来」に触れる
GWが終わって、忙しい日常が戻ってきました。でも、もし心のどこかに「実家の不安」が残っているなら、近いうちにご両親と電話で話をしてみてください。
「この前帰った時、庭の塀が少し気になったんだけど……」 「そういえば、あの土地の杭ってどこにあるか知ってる?」
そんな些細な会話から、未来のリスクを一つずつ消していくことができます。 家の悩みは、一人で抱え込むと「重荷」になりますが、プロと一緒に紐解けば、解決可能な「タスク」に変わります。大切なご実家が、家族の重荷ではなく、最後まで温かな「思い出の場所」であり続けるために。
もし気になることがあれば、いつでも気軽にお声がけください。私たちは、あなたの「実家の健康診断」を全力でサポートします。














