番外編コラム III(完結編):圧倒的コスパと自然!八戸の「南の楽園」階上町で叶えるスローライフ
序章:北の「利便性」か、南の「ゆとり」か
八戸圏域の住まい選びにおいて、北(おいらせ・三沢)が「攻めの選択」だとするなら、南に位置する**階上町(はしかみちょう)は、「守りと癒やしの選択」**と言えます。
八戸市中心部から国道45号線を南下した先に広がるこの町は、商業施設の煌めきこそ北部に譲りますが、その分、**「静寂」「広大な土地」「圧倒的な価格の安さ」**という、現代人が見失いがちな豊かさを提供してくれます。
八戸市内の**南部工業団地(南郷・是川方面)**や、久慈方面へ通勤する方にとって、階上町は単なる田舎ではありません。職住近接とスローライフを両立させる、賢い戦略的拠点なのです。
番外編の最終回となる本コラムでは、階上町が持つポテンシャルと、プロでも慎重になる地形・地中のリスクについて解説します。
第1章:階上町を選ぶ最大のメリット — 「安さ」と「広さ」の暴力
階上町の不動産を語る上で、コストパフォーマンスは避けて通れません。八戸市やおいらせ町と比較しても、その差は歴然です。
1-1. 土地価格と固定資産税のメリット
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土地の広さ: 八戸市内と同じ予算で、1.5倍〜2倍の広さの土地が手に入ります。「広い庭でBBQをしたい」「家庭菜園を本格的にやりたい」「車を4台停めたい」といった要望が、無理なく叶います。
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維持コスト: 土地の評価額が低いため、毎年かかる固定資産税も八戸市内に比べて安く抑えられます。住宅ローンの総支払額を抑えつつ、日々のランニングコストも低い、家計に優しいエリアです。
1-2. 「スローライフ」の実践
階上岳(はしかみだけ)を背負い、海も山も近い環境は、休日の質を変えます。
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自然へのアクセス: 登山、トレッキング、海釣り、キャンプ。これらが「わざわざ行く」ものではなく、「日常の一部」になります。
第2章:通勤の要衝 — 「国道45号」と「工業団地」へのアクセス
階上町は、勤務地によって「最高の立地」にも「不便な立地」にもなります。
2-1. 南部工業地帯への「裏ルート」
八戸市の南郷、是川、妙方面にある工業団地や事業所に勤務する方にとって、階上町は最強のベッドタウンです。
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渋滞回避: 中心市街地の混雑を通らず、県道や広域農道を使ってスムーズに通勤可能です。おいらせ町から通うのとは雲泥の差があります。
2-2. 八戸久慈自動車道(階上IC)の恩恵
無料区間である八戸久慈自動車道の存在が、階上町の利便性を底上げしています。
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市内・広域アクセス: 階上ICを利用すれば、八戸是川ICや八戸JCT経由で高速道路網へ直結します。これにより、物理的な距離以上に、移動時間の短縮が可能です。
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注意点: ただし、生活道路である国道45号線は、朝夕の通勤ラッシュ時に渋滞が発生しやすいポイント(特に工業大学周辺や種差海岸入口付近)があるため、時間の読みには慣れが必要です。
第3章:階上町ならではの「インフラ」と「見えない地中」のリスク
「安いから」と飛びつく前に、階上町特有のインフラ事情と、プロでも慎重になる地中のリスクを必ず確認してください。ここが北(おいらせ町)との決定的な違いです。
1. 「水脈」と地盤改良の難しさ
階上町は**「階上岳の麓」であるがゆえに、山から海へと流れる地下水脈(伏流水)**が地中に多く存在しています。
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パイル工事の落とし穴: 住宅を建てる際、地盤補強のために杭(パイル)を打ちますが、この作業で水脈に当たってしまうリスクが他のエリアより高い傾向にあります。
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慎重な調査: 水脈に当たると施工が難航したり、追加の排水対策が必要になったりと、予期せぬコストが発生する可能性があります。土地購入前の地盤調査はもちろん、建築会社と相談して「水の影響がないか」を慎重に見極める必要があります。
2. インフラの「見えないコスト」
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下水道 vs 浄化槽: 下水道が整備されていないエリアが多く、**「合併浄化槽」**の設置が必要になるケースが大半です。設置費用(補助金の有無は要確認)や、定期的な保守点検・汲み取り費用が発生します。
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プロパンガス: 都市ガスエリアは極めて限定的で、基本はプロパンガスです。都市ガスに比べてガス代が高くなる傾向があるため、オール電化住宅を選択するなどのランニングコスト対策が有効です。
3. 「坂道」との戦い
おいらせ町が「平地の町」なら、階上町は**「坂の町」**の側面があります。
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冬場の運転: 丘陵地に造成された団地では急な坂道が多く、冬場の凍結路面では4WD車が必須です。土地を選ぶ際は、「メイン道路から自宅までの坂道の勾配」を冬目線でチェックすることが重要です。
第4章:エリア別攻略 — 「海側」と「山側」
① 【海側・45号沿い】道仏・蒼前(そうぜん)周辺
「利便性とアクセスのバランス型」
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スーパーやドラッグストア、役場などが国道45号沿いに点在しており、階上町の中では比較的買い物利便性が高いエリアです。八戸市内へのアクセスも良好です。
② 【山側・内陸】石鉢(いしはち)・赤保内周辺
「静寂と眺望のスローライフ型」
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海抜が高く、津波の心配がありません。緑豊かで静かな環境ですが、車がないと買い物には不便です。その分、土地価格はさらに手頃になります。
結論:不便さを「愛せる」人が勝つ街
階上町での暮らしは、おいらせ町のような「至れり尽くせりの利便性」はありません。 しかし、**「多少の不便さ(坂道や水脈リスク)」を理解し、対策できる人には、「余りある経済的メリット」と「豊かな自然環境」**というギフトを与えてくれます。
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八戸市南部に職場がある人
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DIYや庭いじりが好きな人
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地中のリスクも含め、土地の個性を楽しめる人
こういった価値観を持つ方にとって、階上町は八戸圏域で唯一無二の**「南の楽園」**となるでしょう。
シリーズ完結にあたって
これにて、八戸市(全5回)+番外編(全3回)、計8回にわたる不動産コラムシリーズが完結です。
「中心街の利便性」「駅西の将来性」「港町の情緒」「郊外の広さ」「北の機能性」。 そして**「おいらせの合理性」「三沢の特殊性」「階上の癒やし」**。
八戸圏域の不動産は、エリアごとにまるで違う国のようです。 この連載が、読者の皆様にとって「自分だけの正解」を見つけるための地図となれば幸いです。
長い間、ご愛読ありがとうございました!













